ダムや海、山、川、岬を巡るツーリングを通し関東を主に日本の風景を紹介します

タグ: 御巣鷹の尾根

上野ダムツーリング(長戸沢ダム編)

御巣鷹の尾根の慰霊登山を終えて、駐車場に戻って帰途につきます。

険しい山の中に作られた道なので…

NC750Sと駐輪場付近の様子(2023年6月)
NC750Sと駐輪場付近の様子(2023年6月)

この写真の右側が登山道入り口です。元々何もなかった御巣鷹の尾根に向かうために作られた道路で山を大きく削っていることもあり駐車場入り口の斜面が崩落していました。慰霊の場としての御巣鷹の尾根自体の維持も大変ですが、そこに向かう道路の維持もまた大変な事業です。

崩落があるということは土石流の可能性もあり

長戸沢ダム(砂防ダム)(2023年6月)
長戸沢ダム(砂防ダム)(2023年6月)

スゲノ沢は下流で別の沢と合流したところから長戸沢という大きめの沢になります。御巣鷹の尾根登山口の駐車場から少し下ったところに長戸沢ダムと名付けられた砂防ダムが建設されています。

ダムの標識によると完成は平成2年ですが、すでにダム上流は堆砂・堆石でかなり埋まっており砂防ダムとしての役割を果たすのは開口部の段差分しかなくなっています。とはいえ、浚渫するのも周辺の環境を考えると簡単ではなく、維持の難しさが伺えます。(砂防ダムは埋まると土石流を止める機能はなくなりますが、河床勾配を小さくして土石流が起こる可能性を下げるため埋まっていても意味はある とのこと 追記)

長戸沢ダムの標識(2023年6月)
長戸沢ダムの標識(2023年6月)

この標識がなければダム名もわかりませんでしたが…。「建設省」の名前が懐かしい感じがします。

この後、国道299号→国道462号→関越自動車道経由で帰宅。途中の下久保ダム神水ダムは横目に見ながら通り過ぎたのは残念でした。総走行距離392kmで燃費は34.7km/l。

疲れもありましたが、御巣鷹の尾根を訪問したという点で非常に感慨深いツーリングでした。

御巣鷹の尾根

上野ダムから更に神流川上流に向かうと日本航空123便墜落事故の現場である、御巣鷹の尾根があります。「御巣鷹の尾根」は事故後、前回紹介した上野村の村長黒澤丈夫氏によって命名されました。

地図で見ると御巣鷹山と御巣鷹の尾根は沢を挟んで1km以上離れています。御巣鷹山の地下には神流川発電所がありますが、事故現場とは離れた場所です。

慰霊登山の入り口

御巣鷹の尾根、慰霊登山の入り口(2023年6月)
御巣鷹の尾根、慰霊登山の入り口(2023年6月)

当然ですが、登山を楽しむ…というような雰囲気ではありません。ただ、事故現場であったとはいえ、沢の音や虫や動物の鳴き声、木々の緑など豊かな自然に囲まれて好ましいといえる場所です。

昇魂之碑

御巣鷹の尾根 昇魂之碑(2023年6月)
御巣鷹の尾根 昇魂之碑(2023年6月)

事故後、ご遺体または所縁の品が見つかった場所に建てられたと思われる数々お墓に頭を下げながら登っていくと昇魂之碑があります。この先が墜落した機体の機首が損壊し散乱した場所です。振り返ると123便の機体が触れてしまった手前の尾根が見えます。

案内は座席番号

御巣鷹の尾根 案内板(2023年6月)
御巣鷹の尾根 案内板(2023年6月)

案内板の表示は座席番号が使われています。おそらく事故後に発見された場所が反映されているものと思われます。

進んでいくと多くのお墓。それも若い人のものが多く、ほとんどが今の管理人よりも若い。いろいろ思うことはあります。突然不合理な形で先の人生を絶たれた人々の無念を思えば、些か年を取ってくたびれてきた管理人も「今一度ちゃんと生きなければならない」の感慨を覚えました。合掌。

今の穏やかな風景

現在のスゲノ沢(現場よりやや下流)

悲惨な事故の現場ですが、現在では沢は穏やかに、木々は緑で木漏れ日がまぶしい美しいといっていい場所です。事故の記憶と現在の様子の対比に感じる心の動きはこれまでの人生でもあまり体験したことのないものです。

帰途につきます。