ダムや海、山、川、岬を巡るツーリングを通し関東を主に日本の風景を紹介します

月: 2022年3月

自然に還し、自然に返す

ダムツーリングの途上で思う

前回のダムツーリングは高滝ダムから安房天津に抜けて海岸沿いを鴨川まで南下しました。海沿いに出るまでの道のりは房総半島のなだらかな山地を快走しました。人家も少なく、信号もないのでまさに快走。

冬の御宿町中央海水浴場
冬の御宿町中央海水浴場 九十九里浜一帯は日本でも有数のサーフスポットです

ですが、目立ったのが小規模な太陽光発電所。多くは元々畑だった休耕地か耕作放棄地と思われる場所に簡単な基礎を打って設置しているものです。SDGsを掲げてCO2削減を掲げている今日的な風景に感動するか…というと、そんなことはないわけです。むしろ違和感が強い。

猟師工房での話題

このツーリングの目的の一つはジビエの購入。なので鴨川から県道24号に入って猟師工房に立ち寄ります。オーナーの原田さんは狩猟に関する話題がとても豊富で楽しい方です。伊豆大島のキョン対策など最近の活動についても教えて頂けました。が、各地でジビエや狩猟に関する活動をしていると当然地元の方々との関係性ができてきます。人間関係ですから心暖まる…ことばかりでは無く、難しいことも出てくるようで苦心が思いやられました。

猟師工房入り口(2021年2月)
猟師工房入り口(2021年2月)

太陽光パネルの話題も出ました。休耕地の活用法として農水省が旗を振り、農業をやめてしまった農家の方のちょっとした副収入にもなるため増えているようです。が…小規模な太陽光発電施設は規模の経済が働かず効率が悪い上に、そこまでの送電線を維持する必要があり発電量以上のコストがかかります。という訳で管理人は反対の立場なのです。

私有地をどうするか

日本の人口は当面増えることはないでしょう。過疎の地域は増え、特に山間部で廃墟、休耕地、耕作放棄地は必然的に増えます。それを経済的に「活用」するという発想は人間の欲に基づいていてどうも豊かさを感じません。

その上に、中途半端に人が関わっている状態が続くと本来その地域に豊かな人間生活があったことの記録がされないままに過疎地域として自然消滅してしまいます。その地域に営々と続いてきた営農や地域文化、人々の活動が完全に忘れ去られてしまうのはなんとも惜しいことと感じます。

積極的に自然に還し、自然に返す

過疎地域をなんとか維持するのは人々の郷愁を刺激しますが残念ながら持続的とはいえません。その地域の歴史を記録した上で積極的に自然に返すのが良いのではないでしょうか。これは私独自の意見ではなく、前述原田さんの受け売りです。

役割を終えた過疎地域となった集落は、記録されることなく朽ち果てていくよりも歴史を伝えて、そしてその土地は積極的に自然に返すことを考える時期にあると思います。当然過疎地とはいえ私有地ですから、無条件に取り上げるという訳にはいきません。

ですが、所有者の郷愁と自然意識と持続的社会を作っていく意識を頼みに歴史を記録することを条件に地方自治体や国の山林に組み込んで自然に戻していくことは出来ると思います。例えば、下みたいな条例作るのは如何?

○○市 維持困難集落の自然還元に関する条例

総則
本条例は○○市において人口が極端に減少し居住地及び利用可能な土地としての維持が困難なA地区、B地区、C地区において、当地域の歴史を保存することにより土地の所有者による市への寄附を促進し、当該土地を積極的に自然還元し自然環境の再生を目的とする。

第1条 対象地区
○○市A地区、B地区、C地区とする。(附属地図参照)またこれらの地域以外でも本条例の趣旨に適う箇所においては市議会の3分の2以上の賛成で本条例を適用できるものとする。

第2条 地域の歴史の保存と公開
集落には人々が築いてきた固有の歴史や慣習、文化が存在するが居住人口が極端に減少した地域ではそれらの維持が困難なだけでなく、記録されることなく消滅している。地域の歴史の保存と公開はこれらを記録、公開し土地の元所有者の故郷を懐かしむ気持ちを満たすことを目的とする。
1.その方法については市長を責任者とし、第6条に定める委員会と協議の上、文書、写真、映像などを用いインターネットで幅広く公開するものとする。
2.費用の上限は50万円程度とする。
3.費用については〇〇市が負担するものとする。

第3条 所有者による寄附
1.当該地域において所有者による寄附の申し出があった場合、当該土地について本条例の趣旨に適うかを以下の項目について審査する。
1)適用申し出者が所有権を有するものの本人または代理人であること
2)所有者が複数の場合、適用申し出者がその代表者であること
3)当該土地周囲に本条例の適用を反対する常時居住する住人がいないこと
4)破却・撤去におおむね50万円以上の費用がかかる構造物が存在しないこと
5)廃棄物及び危険物が埋設されていないこと
6)その他、当該土地に関する不法行為がないこと
2.土地譲渡に関する事務費用は○○市が負担する。

第4条 自然還元
1.本条例における自然還元とは以下の活動をいう
1)住居や構造物、舗装道路などの人工物を環境維持に最低限必要な程度まで排除し、当該土地の本来の植生に基づいて植栽及び植林を行うこと
2)環境が安定するまでの期間に必要な草引き、間伐などの手入れ措置
3)必要に応じた害虫、害獣の駆除
2.自然還元活動の期間はおおむね10年とし、その費用は○○市が負担する。
3.具体的な活動については第6条に定める委員会の助言に基づき定める。

第5条 土地利用
自然還元中または還元後の土地は本条例の趣旨を鑑み山林業を除く利用を禁止するものとする。但し以下の場合、市議会の3分の2以上の決議を経て上記以外の利用を認めるものとする
1)散策路の設置など市民が山林の自然に親しむ機会を増進する場合
2)他の法律、条例等によって別途利用が要請された場合

第6条 委員会の設置
この条例の適正かつ円滑な運用に資するため「〇〇市維持困難集落の自然還元審議委員会」を設置する。
1)本委員会は市民、市職員、有識者などから市長が委嘱または任命する。
2)本委員会は市長または市議会の依頼を受けた事項について検討・協議を行い報告を行うものとする。
3)本委員会は本条例の主旨に従った円滑な運用に資するため独自に調査・検討・協議を行い市長または市議会に提案できるものとする。

第7条 本条例の運用見直し
1)本条例の施行状況は2年ごとに適用件数、費用、適用前後の当該土地の状況、適用を受けたもののコメントなどの実績を確認する。
2)前項の実績は6条に定める委員会がとりまとめ議会において報告するものとする。
3)前項報告を基に本条例または運用に関する規則等を見直すこととする。

第8条 規則への委任
本条例の施行について本条例に定めのない事項は、規則で定める。

附則
本条例は〇〇年〇月〇日より施行する。

高滝ダムツーリング

目的地は高滝ダム

久々のツーリングでリハビリが必要(大袈裟?)というわけで、ワインディングは避けてのんびり走れる房総半島、これまで行ったことのない高滝ダムを目指します。

経路は環八→第一京浜→アクアライン浮島IC→アクアライン木更津金田ICで降りて一般道。千葉県あるあるで、内陸部の道がとてもわかりにくいです。なだらかな山間部を通り、時々集落があって…という風景が続きます。基本ナビは使いたくない管理人ですが、県道168号線に出るまで調べながらのツーリングでした。県道168号を高滝方面に進むと高滝湖にぶつかり、左折して高滝ダム資料館がすぐ見えます。

市民に愛される高滝ダム

高滝ダムの天端
高滝ダムの天端

高滝ダムの天端は地元の小学生が書いた絵が描かれ、資料館の対岸にはライブも出来そうな広場がありフレンドリーな感じです。千葉県のダムの特徴で、ダム湖が観光資源として高度に開発されており、ダムより少し上流に釣り客、観光客向けの貸しボートやキャンプ場などが充実しています。

高さ24.5mの重力式コンクリートダム

高滝ダムを左岸下流側から望む
高滝ダムを左岸下流側から望む

高滝ダムは堤高24.5mの重力式コンクリートダムです。小さなダムの多い千葉県の中でも堤高でいえば小さい方に属します。高滝ダムの文字がローラーゲートの機械室前後に描かれているのと、写真左側の植え込みが「たかたきダム」になっています。ちなみに高滝は右岸側の地名です。左岸は市原市養老、水系は養老川水系です。

しかし千葉県で2番目の貯水量を誇る

高滝ダム感謝の碑
高滝ダム感謝の碑

高滝ダムは堤高が24.5mと小さいダムのように感じられますが、有効貯水量は千葉県のダムの中では亀山ダムについで2番目の規模です。堤高が低いにも関わらず、貯水量が多いということは…堤長が長く(379m)またダム湖の面積が広いのです。現地で見るとそんなに長く感じませんが、両岸の広場はダムの一部になっています。

そしてダム湖の面積が広いということは沈んだ世帯や畑も多かったということです。感謝の碑が左岸広場の比較的目立つ場所にあります。感謝。

高滝湖と高滝ダムの風景

高滝ダムを上流側から望む
高滝ダムを上流側から望む

高滝ダムを上流側から望むとこんな感じです。ダムのゲート類の右岸側にダム堤体が伸びているのが分かります。千葉県自体がなだらかな地形で開けた場所が多いですが、高滝ダムはその中でも特に開けています。山間部にある小河内ダム滝沢ダムとは周囲の風景が大きく異なります。なお高滝ダムの目的はFNW(洪水調整、流水の正常な機能の維持、上水道)です。

機能の詰まったレイアウト

高滝ダムを上流側から望む
高滝ダムを上流側から望む

高滝ダムは写真左から非常用洪水吐のローラーゲート4門、取水口、利水ゲートがコンパクトにまとまっています。保台ダム片倉ダムはあまり「色」を感じませんでしたが、高滝ダムは「水色」でデザインされています。

春がやっと来たか

高滝ダム左岸のオオイヌノフグリ
高滝ダム左岸のオオイヌノフグリ

今シーズンの冬は寒かったですね。管理人は元々寒さが苦手でまた色々あったためにちょっと体力落としてました。少し暖かくなって回復中。ツーリング先で見るちょっとした野草(写真はオオイヌノフグリ 外部サイト)も春の訪れを感じさせて良いものですよねえ。(この頃3月中旬)

NC750Sと記念撮影して次の目的地へ

高滝ダムとNC750S
高滝ダムとNC750S

高滝ダムとNC750Sの記念撮影をして次の目的地に向かいます。この日は残念ながらあまり天気が良くありませんでしたが、晴天であれば更に良い写真が撮れそうなダムでした。

次の目的地は鴨川経由、猟師工房。ジビエ購入に向かいます。次回はダム関係ない話題です。…多分。