VFR800F/X, CB400sf/sbが生産終了…

HONDAの発表によれば環境規制への対応の為で他にもGold Wing(リアトランクレスタイプ)、ベンリィ110が生産終了だそうですがこの2車種は理由が違うような…。

2020年に生産中止になったNC750Sと同様VFR800F/Xはリニューアルがなかったなど前兆がありましたが、人気車種のCB400sf/sbも含まれたのはやや驚きでした。VFR800*、CB400*共に精巧なメカニズムの4気筒エンジンを搭載し、今後の排ガス規制対応の投資が高額に及ぶためでしょう。難題解決をアイデンティティの一つにもつHONDAがやってできないことはないと思いますがそこはビジネスです。

もう一点、「エンジンの魅力」を訴求するバイク作りからHONDA全体として離れる必要があることも背景でしょう。いずれ2輪車も電化されるとすれば「エンジンの魅力ではない他の魅力」の訴求の仕方を今から実践する必要があります。

NC750SとCB750
NC750SとCB750 両車とも先に生産中止となってしまったNC750SとCB750。教習車コンビ。

別の意味でNC750Xは大丈夫か…

HONDAのADVENTURE系の日本でのラインナップは250ccはなく、400X、NC750X, CRF1100と350ccずつの排気量アップになっていて面白い。

米国、欧州ではCB500X, NC750X, CRF1100となっています。CB500XとNC750Xが近くパワーウェイトレシオがほぼ同じ2車種が並んでいてブランドマッピングがうまくないように見えます。

CB500XのエンジンはCB500Fと共通の基本設計で日本のCB400XとCB400Rのエンジンの関係と同じです。更に500と400の違いはストロークの違いで部品の共通点が多い兄弟と思われます。つまりこのシリーズのエンジンはかなりの数が生産されています。

近年HONDAは明らかにエンジンを共用してパッケージングの異なる車種をリリースする方針を強めています。例えばカブシリーズの125ccエンジンは、モンキー、GROM、DAXと共用ですしインド、中国、東南アジアまで含めると世界で最も多く生産されているエンジンです。

最近大人気GB350はインドで大人気Highness GB350と共有してますからエンジンの生産数は心配ありません。

大排気量ではCRF1100、レブル1100、NT1100の日米欧での展開です。一方NC750XのエンジンRH09EはX-ADVのRH10Eとほぼ同設計ですが、それ以上の展開が今のところありません。世界的に見ると現状で生産台数が多くなくニッチな750ccエンジン…大丈夫か?

NC750SとNC750X
NC750SとNC750X

カギはX-ADVとヨーロッパか?

2020年のタイミングでCB650Rを残してNC750Sを生産終了にし、StreetのミドルクラスはCB650RまたはCB500F(日本ではCBR400RがStreetを兼ねる?)です。近々に排気量の近いNC750XのOHC2気筒750ccエンジンをstreetに敢えて再展開するということはちょっとなさそうです。

そうするとX-ADVと共用しているとは言えこのエンジン少々生産数が少なそうです。規模の経済で利潤を上げるビジネスの観点から行けばこの2車種も安泰とは…。一方でV型二気筒750ccのモデル(SHADOW)が米国ではリリースされているので人気と必然性があれば残るものと思われます。

人気の点でいえば日本ではNC750Xは400Xのリリース以降やや下降線のように思われます。X-ADVも大人気と思えるほどは見かけません。米国ではX-ADVは販売されておらず、NC750Xのみのラインナップ。

一方、ヨーロッパでNC750XとX-ADVの立ち位置は独特です。免許が出力別でA(無制限)、A2(35kW=47ps以下)とクラス分けされています。日本仕様のNC750XとX-ADVは共に43kWでAクラスの免許が必要ですが、ヨーロッパ仕様の両車はECUの設定でA2対応可またAクラス免許を取得した後にパワーを戻すことが出来る仕様です。

これは非常に面白いですよね。まずはA2で愛車として乗っておいて、Aクラス免許を取得したら本来のパワーを楽しむ!免許制度が排気量別になっている日本では出来ない魅力です。これは人気が出ると思うのですが、ヨーロッパでこの2車種がどのくらい売れているか資料を見つけられず。

NC750S, PCX, Fusion
NC750S, PCX, Fusion 生産中止になったNC750S、現在でも大人気PCX、ビッグスクーターの人気に火をつけて発展的生産中止になったFusion。

もう一つの可能性

そうは書いたもののこの二車種だけで生産を続けていくだけの台数が出るかといえば少し疑問です。

となれば、NCとX-ADVのプラットフォームを使ってEV化して再リリースするということも想像(妄想)できます。現場の2輪のEV化は小型側から進んでいるのが現状ですが、バッテリーの価格や重さ、設計の自由度の面から見ればある程度の車格がある方が本来向いているように思えます。

この段階でNC-ES(ストリート)、NC-EX(アドベンチャー)、XE-ADV(クロスオーバー)でリリースして、750ccのエンジンは収束…とかありそうに思えますが如何でしょうか?

先走りすぎかもしれませんが、NC750Xの今後はエンジンの生産数から見ると意外な展開を見せるような気がしてなりません。

NC750Xで行った江の島
NC750Xで行った江の島 購入検討までしたNC750X(中古)で行った江の島。この時もNC750Xの写真を撮影しておらず…結果的に縁が薄い印象