奥野ダムへのアクセス

小田原側からアクセスする場合は国道135号線を南下、道の駅「伊東マリンタウン」を過ぎてすぐ、右側に入って伊東市街地方面に向かいます。この道は元々の国道135号線。道なりに進んで大川橋交差点まで右折、県道12号線に入ります。

県道12号線をずっと道なりに進むと中伊豆バイパス入口交差点。右折してしばらく進むとダム入口に到着します。

下田側からアクセスする場合は、有名なラーメン吉田屋の手前一碧湖入口交差点から左折して一碧湖方面へ。ただし一碧湖まで行ってしまうと遠回り。2022年時点でファミリーマート伊東いっぺき湖店手前の交差点で「東名沼津」伊豆市方面に右折します。そこからずっと道なりに進むと中伊豆バイパス入口交差点に至り、上に同じ。

奥野ダムは市街地からのアクセスがとても良いことで知られています。上記の経路で幹線道路から15~30分で到着します。(信号が多いので幅を持たせています。)

近くに小室山公園(椿園)大室山城ケ崎海岸など伊豆半島の見どころが多いので、これらをメインに奥野ダムにはちょっと立ち寄るのも良いと思います。

奥野ダムの下流側堤体
奥野ダムの下流側堤体

奥野ダムの建設の経緯

昭和33年の狩野川台風で伊東大川で氾濫が発生。伊東市街地に非常に大きな被害をもたらしました。伊豆半島は降水量が多くかつ集中的に強い雨が降る気候上の特徴があります。一方で大きな河川が少なく、集中豪雨の際は下流域で被害が出やすい状況でした。

また降水域が海に近く降水を安定的に貯水し利水するのに向かない地形のため、伊東市域が拡大し人口が増えるにつれて水需要がひっ迫する可能性が高かった。

主にこの二つの理由から奥野ダムの建設が昭和47年に計画されました。ダムを建設するにあたっては世帯の移動が伴い、長年の補償交渉を経て平成元年に竣工しました。

奥野ダムの水の流れ(2021年3月)
奥野ダムの水の流れ(2021年3月)

奥野ダムの特徴

奥野ダムは中央土質遮水壁型ロックフィルダムです。堤頂高63m、堤頂幅323m、ダム体積180万立方m、貯水量460万立方m、湛水面積31万平方m(外部サイト 静岡県奥野ダムによる)で日本国内のダムとしては中規模といえます。ダムの体積に対して貯水量が少ないのが特徴的で、これは大規模な水需要を賄う目的よりも、豪雨時の治水を重視していることが原因と思われます。

ダムの目的は前述のF(洪水調整)、N(流水の正常な機能の維持)、W(上水道)です。またダム運用用の小型発電も行っているようですが、これは他に給電していないためか目的としては挙げられていないようです。

なお奥野ダムは伊豆半島で唯一のダムです。山がちで降水量の多い伊豆半島はダム建設に向いているように思います。しかし降水は集中豪雨が多く年による差が激しい、地盤の影響や、切り立ったV字谷が少ないなどの建設されない理由があるのかもしれません。

とはいえ一番は水需要が少ないのが理由と思われます。人口はあまり多くなく、農業はお茶やかんきつ類の栽培が多いので水田ほど大量の水は必要ないからでしょう。

水田の多い、房総半島は思いつくだけでも片倉ダム戸面原ダム安房中央ダム三島ダムなど多数のダムがあるのとは対照的です。

奥野ダムから松川湖を望む
奥野ダムから松川湖を望む

奥野ダムのダム湖は松川湖と命名され、ダム湖周辺は周遊歩道が整備されるなど来訪者が楽しめます。更に奥野ダム下流側直下の奥野公園は桜の時期はとても美しい(そうです。管理人未取材)子供向きの遊具も整備されています。

奥野公園はダム堤体左岸(右岸)側から降りて、公園を通って、ダム堤体右岸(左岸)側に上る周回コースを歩けます。高さ63m、堤体幅330mですから、若い方にはちょうど良い散歩コースになります。私はといえば…高さ63m分の階段を下りて、遊歩道を登ると太ももが…という状態でしたが。

奥野公園から奥野ダムを望む
奥野公園から奥野ダムを望む

奥野ダムは愛されている

一時期、ダムは環境破壊の象徴のように取り上げられましたが、現在の奥野ダムはむしろ環境に与えた好ましい影響が積極的に評価されています。伊豆半島は元々山々が険しい上に、開けた水場が多くはありませんでした。一碧湖はその数少ない例です。

奥野ダムがある奥野地区には元々あまり多くの鳥類はいませんでした。しかし、ダム建設によってできた松川湖を利用する鳥類が増えて、生物相が豊かでないとみられない猛禽類も見られるようになったそうです。

伊東市の治水と上水道供給を担う奥野ダム。桜が植えられ春は美しい、奥野公園と松川湖湖畔の遊歩道。

とても親しみやすいダムだと思います。