神奈川県はダムの統合運用に特徴

神奈川県のダムの特徴は個々のダムを単独で運用するのではなく、複数のダムを統合して運用する点です。流入流量が少ないが貯水容量の大きい宮ケ瀬ダムと流入流量は多いが貯水容量の少ない相模ダムと城山ダムを導水路でつないで統合運用しています。(外部サイト 「かながわの水がめ 総合運用のしくみ」)そんな神奈川のダムツーリングお勧めルートは

→国道20号(甲州街道)→相模ダム
→県道517号(相模ダム天端を渡る)→国道412号→あいかわ公園駐車場
→徒歩→石古屋堰堤→徒歩→宮ケ瀬ダム
→国道412号→国道246号で帰途

です。ツーリング要素をもう少し入れたいのですが…相模ダムも宮ケ瀬ダムも結構な大場所なので実質2カ所にしました。新旧ダムの違いをじっくり味わってください。

相模ダム

相模ダム上流から堤体と変電所を望む
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相模ダムは中規模の重力式コンクリートダムで相模発電所が併設されています。古いダムで戦前戦後の神奈川県地方で急増する水道水と電力供給を目的に建設されました。ダムツーリングの重要な目的(私の勝手な)に時代背景を知ることがあります。

その点で相模ダムは戦前戦後の時代事情を反映して、はっきり言うと黒い歴史の上に建設されています。現在の日本本土の労働者だけではなく朝鮮半島から労働者として渡ってきた人々の過酷な労働環境、ダム建設に関わる立ち退きに関する軍の関与など…。

現在の相模湖はボート競技のメッカでそんな暗さは感じさせません。また相模湖畔の観光地も平成どころか昭和の香りが残る雰囲気で管理人には好ましいものです。ただ、湖畔の観光地とダムは離れているので一旦観光地に寄って散策してからダムに向かうのがお勧めです。食事はここか、宮ケ瀬ダムのダムカレーか迷うところです。

石古屋堰堤

石小屋ダム全景(2020年8月)
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県立あいかわ公園に入場してしばらく川向きに歩くとまず石小屋堰堤が見えてきます。正式名称は宮ケ瀬副ダムで宮ケ瀬ダムの放流を調整しまた減勢工を兼ねた重力式コンクリートダムです。

私は敢えて石小屋堰堤と呼びたいのです。そもそもこの地域、渓流が神奈川県内でも有名な観光地で…クリックして記事を読むか、現地で石碑を見てください。なんか暗いエピソードが多いなあ。

宮ケ瀬ダム

宮ヶ瀬ダムと愛川第1発電所(2020年8月)
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宮ケ瀬ダムは日本でも有数の高さを誇る重力式コンクリートダムです。相模ダムと対照的に2000年に竣工した新しいダムです。共通点は、住んでいる場所が湖底に沈む人々の猛烈な反対です。流石に1970年を過ぎてからの計画だったので自衛隊が…などということはありませんでしたが、計画公表から着工まで20年反対の強さとどうしても建設せねばと考える行政の長い交渉があったのです。

石小屋堰堤の石小屋渓谷のように宮ケ瀬渓谷もあったのですが…勿論ダムの湖底に沈んでいるのでしょう。

大変な事情を抱えつつも建設された宮ケ瀬ダムは非常に見所が多く開かれたダムです。特に建設時にコンクリートを運んだインクラインが現在ダム天端往復の手段(ただし有料)として運用されているのが見所です。また重力式コンクリートダムとしては珍しくクレストゲートは自然越流式になっており天端の下に流路が通っている構造も見どころです。天端から見る、下流の風景も絶景。ただし大ダムだけに歩いて移動を続けると…他のところに行く体力はなくなるかもしれません。

帰途は国道412号から国道246号に出て東京へというのが一般的です。渋滞を避けるには東名を使うと良いと思います。ただ東京ー神奈川という地理的な点からツーリングで楽しく走るのが八王子以西の甲州街道と相模ダム→あいかわ公園の経路で少し短いかも。