ダムや海、山、川、岬を巡るツーリングを通し関東を主に日本の風景を紹介します

タグ: 下久保ダムツーリング

下久保ダムツーリング(後編)

下久保ダム右岸駐車場から角方向を望む(2021年6月)
下久保ダム右岸駐車場から角方向を望む(2021年6月)

下久保ダムの天端は国道から城峯公園に繋がる道路になっています。天端を通って右岸駐車場にNC750Sを停めてダムの角側を撮影したのが上の写真です。ダム堤体のゲートのある面を主ダム、山波石峡に面した面を補助ダムと呼んでいます。補助ダムは遠くから見ると直線のように見えましたが、実際には少し湾曲していて、右岸駐車場から直接角を見ることが出来ませんでした。

6月の梅雨入り前後で水位を下げている時期でゲートを含めダムの設備が良く見えています。まず主ダム中心水面から2つの放流口が半分覗いているのが主ゲート、その上に2門格子状のゲートが見えているのが補助ゲート、その両脇縦長のゲートが非常ゲートです。ゲートの右側に建物を伴っている設備は表面取水設備です。農業用水などあまり水温が低いと問題が発生する場合に暖まったダム湖表面の水を取水するために稼働します。

下久保ダムの角に歩いて向かう

  • 下久保ダムから神流湖を望む
    下久保ダムから神流湖を望む
  • 下久保ダムのダムマンガ(2021年6月)
    下久保ダムのダムマンガ(2021年6月)
  • 下久保ダムの石碑(2021年6月)
    下久保ダムの石碑(2021年6月)

下久保ダムの補助ダム天端を角に向かって歩きます。左手に神流湖、右手には山波石峡の風景が楽しめます。天端の道路は歩道もしっかり整備されていて普通の道路と変わりありませんが、欄干部分に近隣の観光案内やダムマンガのイラストがあるなどちょっと楽しいです。ダムマンガは文字通りダムを愛する主人公を中心にしたマンガですが下久保ダムの角をストーリーの中で取り上げたことがあり下久保ダムには縁の深いマンガです。

下久保ダム角にダムの記念碑があります。当然角なので90度のカーブになっています。カーブを示す矢印の看板が両方に立っていますが、記念碑と合わせたちょっとしたデザインを意識しているのは間違いないでしょう。記念碑が良く目立ちます。補助ダムも主ダムも天端の広さは同じなので、記念碑のスペース分道路が狭くなるはずですが道幅は一定です…それはまた後で。

下久保ダムの角の風景

  • 下久保ダム諸元(2021年6月)
    下久保ダム諸元(2021年6月)
  • 下久保ダム角の標柱(2021年6月)
    下久保ダム角の標柱(2021年6月)
  • 下久保ダムの角を直上から望む(2021年6月)
    下久保ダムの角を直上から望む(2021年6月)

ダムの記念碑の裏側にはダムの簡単な諸元がまとめられています。立ち退きになった方々の名前や献辞、慰霊の言葉などが書かれている場合もありますが、下久保ダム角の記念碑はシンプルです。おそらく、別にこれらを書いた碑があるものと思われます。

ダムの角には旧建設省による「標柱3号」が立っています。3号があるということは1号と2号があります。この二つは神流湖上流側の両岸にあって、1号と2号を結ぶ線よりダム堤体側は船舶が極スローで航行しなければならない場所になっています。(ダム堤体近くは進入禁止)

ダムの角上からダムの角直下を見ることが出来ます。写真では分かりにくいですが、当然高度感が凄いです。およそ乗り出して写真撮影する気にはなりません。ダムの角は直角に建てられているわけではなく傾斜を持って堤体の底の方が少し厚くなっています。これに反りが付いていれば熊本城の武者返しに似ているのですが…ダムを角を登れる人間はいないのでそんな凝った設計は不要でしょう。

下久保ダムの角の内側

  • 下久保ダムの内側の角遠景(2021年6月)
    下久保ダムの石碑(2021年6月)
  • 下久保ダムの内側の角やや遠景(2021年6月)
    下久保ダムの内側の角やや遠景(2021年6月)
  • 下久保ダムの内側の角アップ(2021年6月)
    下久保ダムの内側の角アップ(2021年6月)

下久保ダムの補助ダムは湾曲があり右岸側からは角の内側は見にくいです。逆に主ダムはまっすぐなので左岸側からは角が良く見えます。左岸駐車場から角を見ると…プールの角というか水が少ないのでお風呂の角のようにも見えます。

左岸には山側に展望場所も準備されていますが…夏にかけての時期はあまり登ると木々の葉っぱで堤体は良く見えません。むしろ上っている途中の場所から角の内側を見るのが様子が分かりやすいです。なおダムの内側に見える黒い筋は道路上の水を排水した跡と思われます。

角をアップで見るとゲートなどの配置が良く分かりますが、それに加えて角の内側で道路を通すスペース分だけ広くなっているのが分かります。角の記念碑スペースの分、内側を拡げて道路が狭くならないようにしたのですね。

下久保ダム堤体上の県境

下久保ダム堤体上の県境(2021年6月)
下久保ダム堤体上の県境(2021年6月)

下久保ダムは「角」が特徴ですが、補助ダムを含めた堤体長日本一という特徴もあります。またそれらに加えてダムの中心が埼玉県と群馬県の県境になっています。つまり私がNC750Sを停めた右岸駐車場は埼玉県、左岸駐車場は群馬県です。

なお下久保ダムの水で発電を行う下久保ダムは群馬県にあります。埼玉県のダムは非常に開放的なところが多いのですが、群馬県のダムは一部を除くとツンデレ?利根川水系は大ダムが多くダム好きにはたまらない場所ですが埼玉県ほど観光地化されていない印象です。

この後は、道の駅上州おこしに寄って都心に帰京しました。道の駅上州おこしは「下久保ダム推し」で全国のダムカード展なども企画されていました。(が…COVID-19の影響で中途半端な感じでした。)

「角」、「堤体長日本一」、「堤体中心が県境」、見どころの多い下久保ダム。再訪を心に誓って、この記事をおしまいにします。

下久保ダムツーリング(前編)

神水ダムも見どころの一つ

神水ダムを上流側から望む(2021年6月)
神水ダムを上流側から望む(2021年6月)

神水ダムは下久保ダムの下流にあり下久保ダム下流の水位を調整しながら、併設された鬼石発電所で小規模ながら発電をしています。大ダムではありませんが写真左の船の艦橋を思わせる階段の様子や発電用利水路のゲートとクレストゲートの組み合わせが造形的に面白いです。

「日」の字が4つ並んだ形になっていますが下がゲートの上部、中央が天端、上が保守管理用の通路になっており、天端は重量5.5t以下の自動車は通行できます。(但し人と自転車優先の上狭いので通行はおすすめはしません。)

下久保ダムまでの風景

  • 鬼石発電所の放流の様子(2021年6月)
    鬼石発電所の放流の様子(2021年6月)
  • 下久保ダムを三波石峡から望む(2021年6月)
    下久保ダムを三波石峡から望む(2021年6月)

神水ダム天端からは鬼石発電所の放流が良く見えます。最大許可出力は790kWですので小規模水力発電に分類されますが、発電時の流量は意外と多く神流川に放流される様子は力を感じさせます。水力発電の場合、流量が小さくても高低差で発電量が多いケースがありますが、鬼石発電所はダム堤体分の高低差しかないようです。

下久保ダム堤体下流に向かう途中は三波石峡です。ここから見えるのは下久保ダムの補助ダムです。補助ダム堤体の右側に小さく見えているのが主ダムに設置された取水設備でこの角度からは唯一見えるダムらしい設備です。三波石峡の風景も素晴らしいのですがダムツーリングなので先に進みます。

下久保ダム主ダム堤体を下流側から望む

下久保ダム堤体を下流側から望む(2021年6月)
下久保ダムを三波石峡から望む(2021年6月)

三波石峡の駐車場を更に奥に進んで下久保ダム堤体直下に到着です。下久保発電所がこの写真の右手手前の見えない位置にあります。全体的に人工的に作られた流路が多く、またダム直下で流路が90度曲がっているのも特徴的です。

ゲート配置は上からクレストゲート、オリフィスゲート、コンジットゲートが2門ずつ備えられているオーソドックスな配置です。

下久保ダム直下~補助ダム天端まで

  • 下久保ダムを三波石峡から望むー全景(2021年6月)
    下久保ダムを三波石峡から望むー全景(2021年6月)
  • 下久保ダムから462号線に戻る急坂(2021年6月)
    下久保ダムから462号線に戻る急坂(2021年6月)
  • 下久保ダムから三波石峡を望む(2021年6月)
    下久保ダムから三波石峡を望む(2021年6月)
  • 下久保ダム補助ダムの堤体(2021年6月)
    下久保ダム補助ダムの堤体(2021年6月)

下久保ダム直下は観光客が楽しめるような施設は一切整備されておらず、案内板が設置されている程度です。発電所は勿論堤体側への立ち入りも出来ないので堤体を存分に楽しんだら、国道462号線に戻ってダムの天端に向かいましょう。

ちなみに下久保発電所から国道462号線に戻るには奥に進む形で山を登るルートと三波石峡を引き返すルートの選択肢があります。前者は途中で斜度23%スリップ注意の表示がある急坂でちょっとした恐怖感があります。スキー中級者向けゲレンデを登るイメージです。乗用車の方や小型二輪の方には引き返すルートをお勧めします。(上の写真はまだ序の口です。)

国道462号線に戻り更に神流湖方面に向かい、トンネルを抜けて直後、左側に下久保ダム天端に向かう道路があります。トンネルからすぐなので見落とさないように気を付けましょう。左側に曲がってしばらく進むとダム手前の公衆トイレと駐車場が見えてきます。駐車場はダムの天端を渡って補助ダムの奥にもあります。(但しこちらはトイレはない)ダムの管理事務所も補助ダムの奥にありますが特に展示などを行っている風ではなく、むしろ道の駅上州おこしがその役割を果たしている印象です。

補助ダム天端からは通過してきた三波石峡が良く見え、また少し手すりから顔を出してみると特徴的な堤体も観察できます。補助ダム天端を歩いて下久保ダムの最大の特徴「角」に向かいます。

次回は角の様子などを掲載予定。

下久保ダムに向かうツーリング3 – 下久保ダムの堤体を望んで…

下久保ダムに到着…できず

下久保ダムを下流側から望む(2021年5月)
下久保ダムを下流側から望む(2021年5月)

山波石峡から国道まで引き返して下久保ダムに向かいますが…時間切れになってしまいました。この日は都内のバイクショップでタイヤ交換を予定していたのでそろそろ引き返さなければなりません。途中の下久保ダムが良く見える場所でダム堤体を撮影。ダム堤体の左端に珍しい「角」が見えています。この角の向こう側の辺が山波石峡から見えていたことになります。

後から調べると山波石峡から引き返す必要はなく更に進むとダム堤体の下流側に出られた模様。余計な回り道で残念なことになってしまいました。下久保ダムが大場所であることはよくわかったので再訪を心に決めて引き返します。

道の駅 上州おこしの廃校跡

道の駅上州おこしの廃校跡(2021年5月)
道の駅上州おこしの廃校跡(2021年5月)

山波石峡を結構歩いたのでのどが渇きました。暑くなってくる時期脱水症状には気を遣います。道の駅上州おこしによって水分補給とトイレ休憩。この道の駅は小学校の廃校跡に作られており建物の一部は残されています。確かに小学校っぽい建物で左端に「職員室」って書いているのが雰囲気があります。

そういえば房総半島の猟師工房も小学校の廃校跡に出来ています。少子化+過疎化のせいで全国で小学校の廃校が増えているのだと思います。廃校跡が活用されるのは良いことですが、根本的に子供が少なくなるのは寂しいですね。

上州の麦(2021年5月)
上州の麦(2021年5月)

下久保ダムへの道々、国道17号線や国道462号線の周りは麦畑が収穫の時期を迎えていました。埼玉県から群馬県にかけてのこの地域は麦の栽培が盛んなようです。埼玉県でははだか麦、六条大麦、二条大麦、小麦が栽培されているそうですが…作付面積から見るとこの写真は小麦?麦に詳しい人教えてください。

この後は関越自動車道で東京まで戻り、バイクショップへ。次回はタイヤ交換の様子を掲載予定です。

下久保ダムに向かうツーリング2 – 三波石峡の風景2

銘石がゴロゴロと…

三波石の写真(2021年5月)
三波石の写真(2021年5月)

山波石峡の名前の下になった山波石。石に白い縞模様が細かく入るのが特徴とのことです。赤や緑、白などの色は含有している鉱物によって違い、全体的には緑が多いようです。なお岩として生成したのはジュラ紀末~白亜紀初頭…と言っても…1億5000万年前位だそうです。その頃はまだ地表には出ていなかったことでしょう。

渓流は復活したものらしい

山波石峡の流れ(2021年5月)
山波石峡の流れ(2021年5月)

山波石峡を流れる山波川の水が少なく岩に苔が付いていたと先日書きましたが、流れているだけ良くてダム竣功直後は流れが途切れていたこともあるそうです。今ではそうならないよう最低限度の放流が実施されるとともに、持ち去られていた山波石の一部が有志によって戻されて以前の風景を取り戻しつつあるようです。ダムを見に行くツーリングで枯れた川や水量が少ない様子を見るのは複雑な心境です。

山波石は持ち出しが禁止されているので

山波石の石積み(2021年5月)
山波石の石積み(2021年5月)

山波石峡は全体が天然記念物で石の持ち出しは違法です。なのでこんなお遊びで石を楽しみましょう。なお、積んだのは私ではありません。下と奥の緑の石に白い筋が細かく入っていて山波石の特徴が良く分かります。色違いの石や全く性質が異なる石も混じっていて石を見るだけでこれだけ楽しめるとは思いませんでした。(地質学とかはあまり興味が…ないのですが楽しめます。)

これで山波石峡を後にして下久保ダムに向かいますが…。次回お楽しみに。

下久保ダムに向かうツーリング2 – 三波石峡の風景

下久保ダムを下流から望もうと…

三波峡へ続く道(2021年5月)
三波石峡へ続く道(2021年5月)

下久保ダムをまずは下流側から見てみようと思い、三波石峡方面へ進みます。舗装はされていますがやや状態が悪く、狭いところもありました。とりあえずNC750Sと記念撮影。ただ堤体は見えているもののゲートや機械室などのダム要素が全く見えず変だなーと思いましたが…これは下調べ不足。後から事情が分かりました。

三波石峡の風景

三波石峡の駐車場にNC750Sを停めて、石峡の遊歩道を歩いてみます。遊歩道に入ってすぐの所に橋が架かっており、そこから上流側を撮影したのが下の写真。どう見てもダムというよりは刑務所の壁のように見えます。渓流の風景は綺麗でしたが若干流量不足か石には苔がついていました。

下久保ダムを三波石峡から望む(2021年5月)
三波峡へ続く道(2021年5月)

三波石峡の天然記念物指定記念碑

三波石峡の天然記念物指定記念碑(2021年5月)
三波石峡の天然記念物指定記念碑(2021年5月)

遊歩道の入り口、橋の手前には天然記念物指定を記念した碑があります。記念碑に「採石植物採取をしてはならない」「紙くづ等を散らし美観を傷つけてはならない」って書いているのも珍しい様な気がします。石碑の下部には三波石峡の様子が彫られています。この石峡では特徴的な石には一つ一つ名前が付けられており48あるとされています。この碑に彫られている渓流の様子はこの48の石石をそれぞれ表しているようです。

次回はもう少し三波石峡。